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協力によって豊かにしようと誓い合っていた。このお話を受けたら、母に何かあっても母を優先して動くことが出来なくなる。夫婦間では答えが出ていたが、母を思うと決心がつかないでいた。そんな私の背中を押してくれたのが母の言葉でした。「自分の存在が二人の夢や生き方の障害になったとしたらとても耐え難い」。私達はN家の三兄弟を迎えることにした。「でも、一度に3人は大変だよ、H子の苦労する姿は見たくない」と、母はポツリと付け足して言った。
「T児を子供と思わずに大人として何でも説明して下さい」子供達に先立って、母方の祖父母、伯母夫婦が我が家にみえた時、伯父が言った言葉です。祖父と伯父の差し出した名刺の肩書きは、お二人共「代表取締役」。三兄弟は平成6年4月に母を、同年11月に父を相次いで亡くし、児相、施設、祖母宅を転々とし、長男は短い所で2日で転校、我が家に来るまでに4回も小学校を変わっていた。人見知りや物怖じしない自己主張のはっきり出来る、子供達です。特に当時7才のT児は頭の良い子で何にでも興味を示す知りたがり屋。そしてすぐに大人の話に口を挟みます。その時まで伯父の言うように大人と同じに扱われ、教えられていたのでしょう。偉そうにペラペラ話す

 

 

 

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